高齢者の転倒回避動作とリハビリテーション〜ステップフェーズ編〜

こんにちは!かまだです
前回の記事から少し経ちましたが、先日行われた「転倒予防教室」はとても盛り上がりました(^o^)
またいつかの記事で載せようと考えていますが、転倒には体、脳、心が深く関係しており、特に「脳」について中心にお話させて頂きました!

転倒と脳・・・イメージが難しい。。

特に脳の前頭葉という場所の機能である「遂行機能」と「注意機能」が働きにくい状態となると転倒リスクを上げてしまうということが分かっています💡
例えば、脳卒中の方で  ”高次脳機能障害”  として前頭葉の障害を受けたりすると著名に現れたりもするのですが、実は健常者でも加齢とともに徐々に機能が低下していくことが分かっています
ですが、可逆性もある為、賦活するような訓練をすれば徐々に回復していくというわけです✎

というわけで今回は、「体」の機能、特に「ステップ」時の体の反応を見ていきたいと思います💡
トプ画にもありますが、愛知県理学療法学会誌に記載されている越智さんという方の文献を参考にお話ししていきます!

目次

  1. Tether-release法
  2. 3つのステップフェーズでの問題点 
  3. Lift-off phase
  4. Stepping phase
  5. Stance phase
  6. 本日の転用💡

Tether-release法

転倒について解明していくためには、その状況をなるべく再現しなければいけず、身体の突発的な反応を見ていく必要があります。
その際に使用される方法で、「Tether-release法」という方法があります

画像

このような装置を使い、体を牽引し前傾姿勢となります。牽引を解くことでステップを誘発させる方法です。筋電図も取り付けるのでステップ時の筋活動も調べることができる画期的な方法ですよね(^o^)
ただし・・・
被験者は、「外乱刺激が来る。」という予測は出来てしまうので本当の状況とは少し違うというところが難点だそうです

3つのステップフェーズでの問題点

さて、前回も少しお伝えしましたが上記の方法を使用する際、ステップには3つのステップがありました

①Lift-off phase〜遊脚下肢の踵離地が起きるまでの時間
②Stepping phase〜遊脚下肢の踵離地から踏み出して着地するまでの時間
③Stance phase〜ステップ着地してから遊脚下肢の膝屈曲が最大となり姿勢が安定するまでの時間

Lift-off phase

要するに、何か転倒するきっかけが起き、転倒に対して反応するフェーズです。
実は、”高齢者は二重課題下にてステップまでの反応時間が遅れる”という特徴があります。二重課題下というのは何かを同時に行っている状況のことです💡
その要因として、脳の処理機能が年齢とともに低下してしまい、注意の分配がうまく行われない可能性があります。姿勢制御に対しても注意を向けなければならないですが(無意識的に)それがうまく起こらない為、転倒してしまうわけです。

Stepping phase

このフェーズでは、転倒に対して反応した後に下肢を前に振り出すフェーズですが、高齢者の下肢の振り出し速度の低下ステップ長の減少の2つが問題点とされています。
実際に股関節屈曲、膝関節伸展、足関節底屈モーメントやパワーを必要としますが、特に転倒経験がある高齢者では、

①膝関節伸展モーメント、足関節底屈モーメントの遅延
②遊脚中の膝関節主動作筋と拮抗筋(ハムストリングス)の同時収縮

Ochi A, Yokoyama S, et al.: Differences in muscle activation patterns during step recovery in elderly women with and without a history of falls. Aging Clin Exp Res. 2014; 26: 213-220.

が起きているという報告もあります。
下肢筋の瞬発的な筋出力発揮が困難であり、遊脚下肢(大腿)の同時活動が高くなっていることが下肢を前に振り出す速度が遅延してしまう原因だと言われています

Stance phase

このフェーズは下肢を地面に着地させた後のフェーズですが、高齢者は一歩で踏みとどまれず複数回ステップしてしまうことが多いと言われています。

では、なぜ複数回ステップしてしまうのか?

Stepping phase時のステップ長の長さが影響しており高齢者のステップ長は若年者に対し短いという特徴があります。
一歩が短い為に、重心を支持基底面内に保持できず体幹前傾角度が大きくなることでバランスを崩し転倒につながるというわけです

本日の転用💡

今回は3つのステップフェーズについて見ていきましたが、やはり最初のLift-off phaseでの反応速度が個人的にはまず改善できればと考えます💡
もちろん下肢筋力を鍛えて転倒に備える!!という考え方もありですが、その前の注意機能などの情報処理が遅延しなければ、下肢の振り出しは適切なタイミングで行え、姿勢保持が余計な筋力を使わずとも出来るのではないかと思います

実際のリハビリ場面では、サイドステップや前後のステップ、声掛けに応じたステップなど反応速度を向上させる為の方法も取り入れて行っています!
二重課題としてステップしながら計算やしりとりなども行ってみたのですが、やはり一気に動きが鈍くなり、難しいという声も患者様から伺っています💡

高齢化が進み、転倒率や転倒での死亡率が上昇している中、転倒予防に対してもっと興味が湧いたので、かまだももっと勉強していきたいと思います!!ヽ(`▽´)/

ということで、転倒についてはこれで終了。。。
か、もしくは、バランスリハビリについて、もしアウトプット出来たらと思いますので、次回もよろしくお願いいたしまーす!

では(^o^)

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